溶けてしまった水晶

このタイプの水晶を見た時、ほとんどの方は水晶とは気付かないかもしれません。

ガタガタ、ギザギザ、一般的な六角柱状の水晶ではないのです。

かなり玄人向けのタイプ。

アイスクリスタル(マニカラン産)

アイスクリスタルは、エッジドクォーツの一種です。

ご覧の通り先端は完全に溶けて、平らになっています。その上、柱面は切り刻まれた様にガタガタ…

薄っすらと溶けた面には、トライゴーニック(逆三角形▽)と呼ばれるサインが現れます。これは非常にレアで、そう簡単に見つける事は出来ない物。

一般的ではない為、熱心なマニアも多く、私もその一人なのです。

溶けているという事は、いつか溶けてなくなっていた可能性もあったでしょう。

よくぞこの丁度いい溶け具合で採集されたな、といつも思います…

これはこれで完璧な地球のアートですね。

見事な溶けっぷり(ヒマラヤ産)

こちらのポイントは真ん中から下部にかけて大きくえぐれる様に溶けています。

ただ、上部はファントムの形成途中にも見えませんか。

この溶けっぷりからすると、晶洞内で熱水の変化で成長がストップし、フッ化水素などの影響で溶けだしたのでしょう。

エッジドクォーツには他にないストーリーがあります。

ぱっと見の美しさはないかもしれません…が、見れば見るほど引き込まれます。

味のある形です。