祝福された土地 Yowah
オーストラリア大陸の真ん中より少し東、そこに地球上で最大のオパール産地があります。
ヤーワ(Yowah)と言う地名は、オーストラリア人でも知っている人は稀です。
人口150人程の小さな村。全員がオパールに携わっています。
行き着いてまず驚いたのは、温泉が湧いてる事。
地球上で南極に次いで二番目に古いオーストラリア大陸には、火山がありません。風化や浸食によって山すらないのです。でも温泉はある…
地中深くにある水源が、大地の亀裂を上がってくる圧力(摩擦)で温水になるのです。
この大地の恵みをヤーワの人々は、各家庭に配水し蛇口から温泉が出る様になっていました。
洗濯やお風呂も温泉、まさに天国。ボルダーオパールの石言葉・幸運にピッタリですね。
私は約3年間オーストラリアに住んでいました。
この大陸にも水晶はあります、煙が閉じ込められた様な独特なスモーキー、エレスチャルなアメジスト…
でも私の心を虜にしたのは、ボルダーオパール。
世界のオパールの、90%はオーストラリア産と言われています。
ライトニングリッジのブラックオパールが最も有名。ついで、ヤーワ(Yowah)、コロイト(Koroit)のボルダーオパール。
ブラックオパールは下地の黒の深さと、遊色によって品質が決まります。
一方、ボルダーオパールは様々な種類の母岩にオパールが染み込んでいて、ピクチャーオパールとも呼ばれ、それはゴッホの絵画の様な世界観。
このカラフルな色彩はもちろんナチュラル。
私を驚かせた事実はもう一つあります。
SiO2・nH2O
これはオパールの化学式、二酸化ケイ素と水…なんと水晶と同じSio2に微量の水H2oが混じり合う事で遊色効果を伴うオパールとなるのです!
以前、オーストラリア人の鉱物コレクターの自宅を訪ねた時、彼が見せてくれたとびきりのコレクションは、水晶のシングルポイント。
それはただのシングルポイントではなかったのです、なんと先端がオパール化している!
虹入りではなく、先端2mm程が青く遊色している、柔らかくぼんやり青いのです。
初めて見たもので、これからも滅多に見れるものではないでしょう。
この様に、一見まったく別の鉱物だと思っていたものが実はファミリーだったりします。
私の中でオパールと水晶の垣根がなくなった瞬間でした。