コレクター憧れのグウィンデル
グウィンデル(Gwindel)をご存知の方はかなり攻めています。
私がこのフォーメーションを知ったのは、4年前のことでした。
スイスを訪ねた時に、友人がその秘密のワードを一言。
「Do you know Gwindel?」(グウィンデルって知ってるかぃ?)
手渡してくれたその一品は、10cm程の平べったいピースで、グググっと全体がツイストしていて…表面はびっしりクローライトに覆われ、滑らかな雰囲気で侵食されてる様に見えます…
構造的には、ダブルポイント(両剣水晶)の水晶を横向きに置いて、位置をツイストさせる様に、上に積んでいった形をしています。
だた、実際は水晶自体の軸がツイストしています。
曲線を持つ水晶…なんてドラマティックな響きでしょう。
ものすごく特殊な条件でしか育たないこの形は、今だに正確な成長過程は明らかにされていません。
そのほとんどはスイス産ですが、ここ3年ほど前からヒマラヤ産もごく僅かに見かけます。
以前、ヒマラヤの水晶ハンターを訪ねた時、グウィンデルを発見した時の話を聞かせてくれました。
標高およそ4000m、岩の切れ目からザイルを使い下へ200m。横に60m。ロケーションはクレイジーそのものです…崩落は運命次第、真っ暗な中、岩の隙間を通り抜ける風の唸りを感じます。すると通常は直線的な岩盤ですが、ある一部が緩やかにツイストした所を見つけたそうです。圧倒的な大地のパワーが生み出す奇跡です。そこから900gのグウィンデルが出てきました。
山の内部で動いている大きなエネルギーの流れの中、局所的に圧力のうねりの様なものが生じたのでしょうか…グウィンデルを眺めているといつもこの話を思い出します。
息を飲む美しさ
私にとってグウィンデルの美しさとは、面の美しさでございます。
面自体が緩やかにカーブしている中、縦横に入るストラクチャーは、直線と曲線のハーモニーです。
以前からヨーロッパのコレクターの間で、グウィンデルは別格のポジションでした。1kgを超えるトップクオリティのものは、木箱に最高の状態で保管され、まさにお宝そのものです。
近年のスイス国内ミネラルショーでも、100万円を超えるピースも存在します。
今、アメリカやオーストラリアにも知る人は増え、日本にもその名を轟かせつつあります。
その価値と希少性は非常に高く、日本国内で実物を見る機会はほとんどない為、その美しさは幻となっています。