再結晶化する断面

セルフヒールドとは、何らかの衝撃や変化によってダメージを受けた後、その断面が再結晶化する現象です。

買い付けの際、ついつい水晶の断面を覗いて、セルフヒールドしていると嬉しくなっちゃいますね。

これがヒールドしてるのと、してないのではトータルのクオリティが大きく変わってきます。

ダメージを受けたとしても、その部分がヒールドしていると、結晶としてはパーフェクトなコンディションになります。

お〜よくぞ…こんなダメージがありながら立ち直ってくれた…ありがとう水晶さん…なんて思ってしまいます。

ヒーリングの分野では、自己治癒力を高めると言われております。

また、その断面を透かして見ると、とても綺麗です。

綺麗にヒールドしている裏面

ヒールドの表情は様々

一言にセルフヒールドと言っても、その雰囲気は様々です。

キラキラと細かく再結晶したもの、断面ごとに再結晶した錐面を持つもの、ヒールド面が主役になる事さえあります。

ここでは、私が特にグッときたヒールド面をご紹介します。

まずはこちら。

まるで山脈(スイス産)

このピースは一般的なシングルポイントですが、その下側、逆さにした状態です。

このキリリとしたヒールド具合…たまらなくカッコイイですね。

環境の変化でポキっと折れたこの水晶さんは、仲間の元を旅立ち、新たな場所に辿り着いてその傷を完全に修復しております。江戸切子の様なシャープなエッジがたまりません。

続いてこちら。

キング・オブ・ヒールド (ヒマラヤ産)

ドドーン!形もさることながら、この圧倒的なヒールドっぷり!まさにキングです。

ワニと言うよりは、ヘビ革の様なストラクチャー…うっとりします。

ヒマラヤに住む先生によると、衝撃の後、ケイ素成分が多い晶洞内の壁面にピタッとくっつくと、こういったヒールド具合になると教えて頂きました。

逆サイドを見ると、かろうじて以前の結晶の錐面がわかります。

こちらが表面

ご覧の通り、二つの錐面があります。以前はそこそこ大きい結晶だった様ですが、かなりの衝撃だったのでしょう。大きくえぐれて、裏面はスライスした様にスパッと切れています。

ただ、その衝撃を乗り越えて、完全にヒールドした姿は以前にも増して、魅力的だと思います。

この様に私はセルフヒールド中毒です。

一度大きな傷を負いながらも、自ら修復する水晶の神秘を感じます。